やすらぎの風景 簾 井上スダレ株式会社
簾の持つ風合いと機能性を考えると、これほど日本人の感性に合うインテリアは他には見つからない。
河内長野市の地場産業って?・・・つまよう枝、簾・・・さて、簾について。
簾 皆さん河内長野市の地場産業をご存知ですか? 河内長野市では、古くからつまよう枝、簾の生産地として全国的に有名でした。しかし他の産業と同様、近年生産拠点が中国に移りこれらの地場産業も衰退の一途をたどっております。これらは、全国的に広がっており各地の伝統工芸の火が消えようとしていることは、皆さんもご承知のとおりです。はたしてこれで良いのでしょうか?

 そんな中今回は、簾というものにスポットを当ててみました。簾は古くは、平安時代以降親しまれている日本古来の伝統工芸品で以前は、どこの家屋にも簾がかかっていたという記憶があります。しかし、最近では家屋の気密化とエアコンの普及により窓を開け自然の風を取り入れることを余りしなくなったことに起因し簾をかけている家屋が少なくなったように思います。私自身は、簾の持つ風合いが好きで家を見渡してみると何箇所かに簾がかかっています。我が家の簾はすべてホームセンターで購入した中国製のものでこんなもんだという認識になっていました。
伝統
 日本の伝統的工芸品である簾は、簾が建築上最も重要とされた平安時代に全てが要約されていると、考えるのが自然だと思います。平安時代の後期に、平安京の宮城内にあった朝堂院などの公的な建物が唐風様式であったのに対して、天皇の日常の住居である内裏は白木造、板敷、檜皮葺で日本古来の伝統が強く残っていて、それが貴族の代表的住宅となった神殿造へ発展したとされています。唐風文化が国風文化にその地位を譲り、建築、文化両面で日本に独自性が生まれた時、純日本的工芸美も完成したようです。

「源氏物語絵巻」 その神殿造で、簾が構造的、精神的に重要な役割を果たし、尊敬語で「御簾」と呼ばれていたことは周知の事実です。平安時代の簾の材料と現在の材料にほとんど相違が無いことから、「材料は道具や加工方法を限定する」という造形的視点にも共通性があると考えたからです。「源氏物語絵巻」が資料として優れた物であると判断した理由の一つに、描写が俯瞰描写で絵巻の天地の幅が短い割に情報が豊富で、大胆にも建物の屋根及び天井を取り去った「吹抜屋台」という表現があります。さらに、男女の面ざしを「引目鉤鼻」と呼ばれる表現をした結果、美しく意匠化され、ロマン主義的絵画となっていて、推理を助けてくれることにもあります。
(井上スダレ株式会社ホームページより引用)
簾作りは、竹の吟味から始まる。
簾の自作機 今回の取材は、日本古来の伝統工芸である本当の簾を生産しておられる河内長野市の天野山金剛寺の側にある井上スダレ株式会社にお邪魔しました。田中工場長に生産現場を案内していただき驚いたことの一つは、手作業の部分が非常に多く一品一品吟味された製品でさすが伝統工芸品というものばかりでした。田中工場長のお話しでは、以前はこちらでも普通よく目にする簾も生産していたが前述のように中国製品が大量に流通しだしたため今では、販売戦略としてインテリアとしての簾、一つ一つの窓の大きさに合った簾、即ち付加価値をつけた簾を生産しているとのことです。また、一方では神社仏閣、結婚式場などで目にする煌びやかな簾も生産されております。

 一番気になる価格面は、ホームセンターなどで見慣れているところからすると非常に高価なものですが製品を見ると素人の私でもはっきり違いがわかるすばらしいもので、竹から吟味(天然素材のため材料選別に全体の40%の時間を費やす。)が始まり職人さんが丹精をこめ仕上げていくさまを拝見しこれまた納得のいくものです。また、工場内の機械(私には機織機のように見えました。)は、この会社の自作機で他には、ない機械ということで非常にこだわりを感じました。

 一方では、高付加価値の簾の新商品開発にも力を入れておられ簾という伝統工芸品を現代にマッチするよう日々努力されている様子は、インテリアとして簾を生き返らせる力強ささえ感じます。殆どの方は、簾は簾としか思わないでしょうが(私もその一人です。)今回本当の簾を見せていただき日本の伝統工芸品の素晴らしさとそれを支える職人芸、物づくりの奥の深さともいうべきものを感じ、新しいもの便利なものを追求する余り忘れかけている何かを思いだすとともに真剣に後生に残していかなければならないと思いました。(柏原圭司)
資料館が現在建設中井上スダレ株式会社
河内長野市天野町1014-1
E-mail:info@sudare.co.jp
TEL:0721-53-2581/FAX:0721-54-6506

社屋の横には広く皆さんに簾の歴史を広く知っていただこうと古い機械や簾の歴史文献や資料等を展示するため資料館が現在建設中で9月のオープンが楽しみです。オープン時には再度取材にお伺いしたいものです。
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2004.4.25発信
南大阪ほんまもん研究会
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